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August 2008

08/31/2008

x6:H.G.ウェルズ「盲人の国」

ダウンロード TheCountryOfTheBlind1.mp3 (28952.2K)

今日のオーディオブック・サンプルは、H.G. Wellsの短編「The Country of the Blind」の前半。先日たまたまジョゼ・サラマーゴの「Blindness」(映画も近く公開予定)を市販のオーディオブックで聴いていて(ナレーションは思いのほかよかった)、ふとこの短編を思い出したので録音してみた。

Blindnessのほうは、原因不明の病気で突然人々が視力を失い始め、発病した人が隔離されていくという設定。その中で、1人だけ目が見えないふりをして夫と一緒に施設に入る女性がヒロインだ。一方ウェルズの短編のほうは、遺伝病で視力を失った村人たちが何世代にもわたって人知れず暮らすアンデスの山奥が舞台。そこに、山岳ガイドの男が遭難して迷い込む。はじめは村人たちを見下して自分の視力を誇示しようとするのだが…。

盲目は何のたとえなんだろう、という視点で聴くと、どちらも興味深い。

ところで、オーディオブックの大きなメリットは、視覚に惑わされずに言葉とイメージに集中できる点にある。目から入ってくる情報はじつにパワフルで、いろいろな連想(妄想?)を引き起こしやすい。映像はもちろん活字でさえも、見ているとどうしても脳が視覚主導で情報を処理しようとしてしまうのだ。そこでおすすめしたいのが、目を閉じるか模様のない壁などを見ながらオーディオブックを聴くようにして、イメージを浮かべる訓練をすること。つまり、聴覚から視覚イメージを誘導するわけだ。はじめはかなり集中力がいると思うけど、自分の興味に合った素材を使っていけばどんどん面白くなるはず。もちろん自作の録音素材も積極的に取り入れよう。

08/27/2008

x5:ランス・アームストロング「It's Not About the Bike」

「オーディオブック方式」でオールラウンドな英語力を磨くには、ぜったいにレコーダーが必要だ。でも、どんなものを選んだらいいんだろうか。

すでにICレコーダーや録再機能付きウォークマンやMDを持っている人は、とりあえずそれでも十分だ。パソコンにマイクをつないでフリーウェアで録音してもいいだろう(非力なパソコンでは録音途中にフリーズという悲惨なケースもありうるけどね)。でも、録音環境をグレードアップしたい人やこれから買おうとしている人には、MP3対応のICレコーダーをお勧めする。なぜMP3対応がよいかというと、パソコンでの取り回しやiPodなどのプレーヤーとの互換性が圧倒的にいいからだ。

オーディオブックの自作では、録音時間が平気で10時間を超えたりする。だから、「なるべく少ないファイル容量でまずまずの音質を確保すること」が肝心だ。高音質という点では今のところリニアPCMが最高峰だろうが、その反面ファイル容量もばかにならない。実際問題として、言葉だけの録音に音楽録音ほどの高音質はいらないのだ。オーディオブックに最適な音質レベルは、MP3レコーダーなら128kpbs程度だろう(メーカーによってはSHQ、HQなどと表示されていることもある)。でも、64kbps以下だと長時間聴くに耐えない音質になってしまう(メーカーにもよるだろうけどね)。

実は音質に限っていえば、MP3レコーダーよりもソニーのHi-MDというやつが驚異的に優れていて、48kbps(最も劣悪なレベル)で録音してもMP3の128kpbsを軽くしのぐほどだ。保存容量も半分以下ですんでしまう。いいことずくめのようだが、残念なことにiPod等との互換性がなく、いったんフリーウェアなどで変換しないと手軽には使えない。そして、この変換にものすごく時間がかかってしまうのだ。(もうMDの時代ではないので、機械自体も半分過去の遺物だしね。)

PCMにもMP3にも対応した廉価なICレコーダーがサンヨーから出ているので、要チェックだ(ぼくはその1世代前のPCM非対応機を使っている)。値段は、ネットで調べたら1GBモデルで12,000円ぐらい。容量は1GBあれば十分すぎるほどだ。MP3の128kpbsで17時間も録音できる。ある程度録音がたまったら順次パソコンに保存すればよい。保存したらiPodなどの携帯プレーヤーですぐガンガン聴ける。

さて、今日のサンプルは、がんを克服した後でツールドフランスを7連覇したランス・アームストロングの最初の自伝(2連覇した頃に出たペーパーバック版)の冒頭。ちょいと鼻につくキャラクターで、一人称で強がりばかり言うのだが、読者にはかえって彼の弱さや欠点が透けて見えてしまう、という皮肉な面白さがある本だ。共著のライターにごほうびをあげたい。

ダウンロード INATB01.mp3 (3109.0K)

このサイトにアップロードできるファイルのサイズが、ちかく1ファイルにつき40MBから1MBに減るらしい(9月2日から)。長いファイルはそれまでにアップロードしておかないとだめということなので、将来小出しにできるよう長めの音源をいくつか保存しておいた。来月以降アップロードするサンプル音源は、1ファイルにつき1分足らずとなる(128kbpsのファイルだと1MB=約1分)。聴く人にとっては負担が軽くなっていいかも。

08/24/2008

x4:「ハリー・ポッターと死の秘宝」

ペーパーバックが速く読める、というのもオーディオブックを自作するメリットの1つだ。ぼくは黙読だとそんなに速く読めるほうではない。たとえばハリポタのThe Half-Blood Princeなんかは、3年前の発売初日に配達してもらってすぐ読み始めたが、週末を丸々あてたのに3日はかかってしまった。(ハードカバーは持たない主義なので、読み終わったらすぐアマゾンのマーケットプレイスで売り払ってしまった。本の細かい内容はもうあまり覚えていない。)

次のThe Deathly Hallows(シリーズ最終巻)が出たのは去年だが、その時はすでにオーディオブック自作プロジェクトに着手していたので、この本もオーディオブック化してみた。本の発売初日に配達を受けて、でき上がったのは2日後。所要時間は20時間だった。(ハードカバーはその後すぐマーケットプレイスで売り払ったことはいうまでもない。)もし普通に黙読していたら、とうていこの速さでは読み通せなかったろう。しかも内容は一度声に出して読んだだけなのに結構頭に残った。(その後2度聴き返したので、さらに記憶に刻みこまれている。)

「HPDH4.mp3」をダウンロード

この方法だと、どんなペーパーバックでもかなり速く読める。でも、なぜ音読のほうが速いんだろう。どうも自分は黙読していると眠くなるくせがあるらしい。はっと気づくと何を読んでいたか分からなくなって後戻り、ということもしばしばだ。ところが音読していると、頭が完全に覚醒して100%集中できる。たとえ声に出すのに多少時間はかかっても、それを十分カバーできる覚醒効果があるので内容が頭に残る。だから後戻りなしにどんどん前に読み進める、というわけだ。

なお、自作オーディオブックはあくまでぼく自身の研鑚を目的としたもので、販売も配布もしていない。

08/22/2008

x3:「シャーロック・ホームズの冒険」より(2)

このメソッドの基本は、「音読する」、「録音する」、「聴き返す」の3つだけ。読む素材はなんでもいい。ペーパーバックでも英字新聞でも、自分の興味のあるものを選べばいい。子供向けの絵本でもいいし、そんな幼稚なものはいやだという人は哲学書でもいいい。自分が読んで楽しい、役に立つと思う素材が、そのまま教材に早変わりするわけだ。お金もいらない、指導者も不要。いるのは自己開発の意欲だけだ。

ひとつ大事なのは、ただ「音読する」だけではいけない、ということ。耳へのフィードバックが十分得られないからだ。音読するには結構脳を使う。そして、耳で聴いて理解するのにもかなり脳の処理能力を要する。これをいっぺんにやろうとすると(マルチタスキング状態)、脳内の処理が追いつかず注意も散漫になってしまう。音読は音読、リスニングはリスニングで分離して脳を100%集中させたほうが、コンテンツはよりよく頭に染みこむし、フィードバック効果で音読の上達も早まる。だから、いったん録音しておいて、読む・聴くで脳のモードをはっきり切り替えることが大事なのだ。

今回のサンプルはふたたびThe Copper Beeches(シャーロック・ホームズの冒険より)。前回容量オーバーでカットした解決編。

「SHCB2.mp3」をダウンロード

ありがたいことに、テキストは買わなくてもネット上で閲覧できる。
今回使ったのは:
http://168.144.50.205/221bcollection/canon/copp.htm 

08/18/2008

x2:「シャーロック・ホームズの冒険」より

オーディオブックを自分で作る最大のメリットの1つは、本の内容が何倍もよく頭に入る、という点にあると思う。まず、意味をどう表現するかを常に意識しながら音読すれば、大意をさっとつかむ訓練ができる。読みっぱなしにせず、必ず録音することも重要なポイントだ。録音した素材は、客観的に自分のパフォーマンスを評価する材料にもなる。しかも、自分の録音を聴き返してみると、はじめは読みとばしていた細部の描写までが自然にくっきりと浮かび上がってくる。したがって読書体験がとても濃密になる、というわけだ。逆に、人の録音を聴いているだけだと、リスニングできるかどうかのレベルで汲々としてしまって、細かいところまで味わう余裕がなかなか出てこない。それに、声に出すという実践的な訓練も欠落してしまう。

ぼく自身の経験では、ただ黙読していると細部はほとんど頭に残らないけれど、自分でオーディオブック化した本については、なぜかイメージがよく定着している。

今日は先週末に録音したThe Copper Beeches(シャーロック・ホームズの冒険より)。ココログはファイルサイズの上限が40MBなので、前後を一部割愛した。

「SHCB.mp3」をダウンロード

コナン・ドイルの英語は、ちょっと回りくどいところもあるけど結構好きかな。今でも使えそうな表現もいろいろあるしね。この話はもうすっかり忘れていたので、初めてのように楽しめた。依頼人が事件について説明する語りの部分が、例によって実によく書けている。ホームズがこの話でもやっているように、両手の指先を合わせて目を半分閉じながら聴くと、(少なくともぼくの脳裏には)情景がふつふつと浮かび上がる。ついでながら、Rucastleなる人物名の発音は、ちょっと調べたけど不明だったので適当にごまかした。 

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