x39:「ファインマンさん、ご冗談でしょう」
ノーベル物理学賞を受賞した故リチャード・ファインマンの破天荒な自伝(Surely You're Joking, Mr. Feynman!)。だいぶ前に読んで面白かったのをふと思い出して、ページがもう茶色く変色したペーパーバックを書棚から探し出し、オーディオブック化してみた。ちょうど1年ほど前のことだ。
改めて読んでみると、以前持っていた印象よりもかなり荒っぽく書かれた本だなという気がしたが、読み進めるうちにその口語的リズムが心地よく感じられてきた。録音したのは1年ほど前だが、最近聴き返してみるとまたそれなりに楽しめる。不思議な魅力のある本だ。自分の欠点から何から全部正直にさらけだしながらも一本筋の通ったファインマンの生き方には、あらためて脱帽する。オーディオブック化してみたおかげで、こんな本だったんだなと改めて全容を理解できて嬉しかった。
その中から、著者がカリフォルニア州の教科書選定委員を務めたときのエピソードを語った章「Judging Books by Their Covers」を紹介しておこう。教科書を選ぶなら全部目を通して読まなければ、と律儀にやっていたのは委員の中でもファインマン1人で、他の委員は出版社の接待攻勢にかまけて読んでいなかった。だから、印刷が間に合わずに表紙以外は白紙の教科書候補にすら、委員の数人がそこそこの評点をつけていた。なんていうくだりは思わず笑ってしまう。それってきっと日本の教科書選定でもあるんじゃないの?
サンプル1分:
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