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November 2008

11/28/2008

x52:コナン・ドイル「赤毛連盟」

「シャーロック・ホームズの冒険」の中でも有名なエピソードのひとつ。久しぶりにフィクションを録音したが、やっぱりこの手のものは楽しい。

ホームズものは特にファンではなかったのだが、BBCが制作したラジオドラマ版のシャーロック・ホームズをずいぶん前にNHKラジオ第2放送でやっていたので、録音して何度も聞いているうちにはまってしまった。演出も巧みだし、声優たちがまたじつに上手なのだ! ホームズはカールトン・ホッブズ、ワトソンはノーマン・シェリーという役者が演じていた。(第2次大戦中にチャーチルが英国民を鼓舞した有名なラジオ演説があったが、実はチャーチルの声色を使ってこのノーマン・シェリーが録音したものだった、という逸話が残っている。)その他の俳優たちも生き生きとしていて、1話25分ほどのエピソードがあっという間に終わってしまう感じだった。テレビ版のジェレミー・ブレットは冷徹で神経質なホームズをうまく演じていたが、ホッブズのラジオ版ホームズも結構その感じに近かった。BBCではその後別の声優陣でホームズの全作品をラジオドラマ化し、CD全集も出ているようだが、ホッブズ/シェリー版を懐かしむ声もAmazon.co.ukの書き込みにあって、共感をおぼえた。(そのラジオ版を録音したカセットは廃棄してしまった。考えてみるともったいないことをしたもんだ。)

今回何話か自分で朗読したが、以前ラジオ放送を録音し損ねたり、聞いた回数が少なくてよく覚えていなかったものばかりを取り上げている。BBC声優陣には遠く及ばないが、いろいろ学ばせてもらったことをなつかしく思い出しながら、楽しく録音できた。

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「TheRed-headedLeague.mp3」をダウンロード

11/26/2008

x51:"Don't buy it" (The Washington Postコラム)

消費者が不況を乗り切るには買わずに済ませるしかない…でも人付き合いに亀裂は出ないだろうか? 1年間夫婦で切りつめ生活を実践した筆者がその体験を語る軽いエッセイ。日本でもよくテレビのバラエティやお昼時の特集などでドケチ生活を紹介しているが、こちらはいやしくもワシントンポストのコラムなので、そんな軽いテーマも多少インテリジェントな味付けでさばいている。

(追記:筆者Judith Levineの苗字はレヴィーンと発音するようなので訂正しておく。指揮者James Levineはレヴァインと読むので引きずられた。この苗字は人によってはレヴィンとアクセントが最初に来ることもあるのでやっかいだ。今回は筆者が出演したラジオ番組での紹介を参考に判断した。)

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11/23/2008

x50:"A transplant war of my own"(The Timesコラム)

数日前に取り上げたThe Timesコラム(臓器提供の推定同意にノー"No to presumed consent")について、反論のコラムが載っていたのでこちらも紹介しておこう。このコラムニストは夫が3年前に肝臓移植を受けた経験を持ち、推定同意制度のメリットを強く訴えている。

One-minute excerpt:
「081123transplantwar.mp3」をダウンロード

11/19/2008

x49:「不思議の国のアリス」(最終回)

冒険が終わって夢から覚めたアリスをいとしげに眺めるお姉さんのめい想シーンがいい。ワーズワースの「Tintern Abbey」で、かつての自分と同じようにワイルドで鋭い感性を持つ妹をいとしく思う詩人の様子を想起させる。最後はトーンもどことなくワーズワース風になっていると思うのは僕だけだろうか…。

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参考:ワーズワース Tintern Abbey
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x48:"No to Presumed Consent" (The Timesコラム)

臓器提供の推定同意について検討したイギリスの専門家タスクフォースが、先日「ノー」の結論を出した。委員の1人がThe Timesのコラムでその理由を説明している。興味のある人は聴いてみてください。

人に臓器を提供するというのは、ある意味大変勇気のいることだし、The Timesのコラムも指摘しているとおり医師や医療機関や臓器移植体制に対する「信頼」がなければできない。そして、現状ではここですでに大きな疑問符が付いてしまう(コラムではそうした疑問を否定してるけど、それは行政側が口にする気休めだろうな)。

また、提供された臓器は本当にそれを必要とする人にわたってほしいが、誰がどうやってその公平性を確保するのかも難しい問題だ。それと、たとえばドナー登録していない成人はレシピエントになれない(臓器提供を受けられない)、あるいは登録しているレシピエントより優先順位が下がる、というような制度を考えるのはタブーなんだろうか? 「自分の臓器は提供する意思はないが、自分に何かあったら人の臓器は提供してもらいたい」という人がいるとしたら、何だか身勝手もはなはだしいように思えてしまうのだが…。

1分間サンプル:
「081118Notopresumedconsent.mp3」をダウンロード

11/18/2008

x47:Michael Soussan "Mission Implausible"

昨日書評を紹介した「Backstabbing for Beginners」のダイジェスト版記事。これさえ読めば本は読まなくてもメッセージはつかめるだろう。

ちなみに、11月13日付けのウィスコンシン・パブリック・レディオのインタビュー番組に著者のMichael Soussanが出演してこの本について語っているのを聞いてみたが、主張は今日掲載する内容とおおむね同じだった。ちなみに司会者は著者名をマイケル・スサーンとフランス語読みの鼻母音で読んでいた。スサーンはデンマーク出身で、アメリカのブラウン大学を卒業して弁護士を目指していたが、24歳の時にたまたま国連のOil for Foodプログラムで人材を募集していたので応募した(友人のコネもあった)、と話していた。特に国連職員を目指して頑張ってきた人ではなさそうで、現在は国連をやめて大学で教えているとのこと。年は30代後半と思われる。どれだけ国連の裏にまで精通しているのかはちょっと不明だが、こうした新人にもすぐ不正が見通せるくらいだから、そうとう腐敗しているんだろう。てゆうか、国連が援助しなければならないような国では手を汚さずに何かできるような状況じゃないだろうから、きれいごとは言っていられない部分もあるんだろうけど…。

著者ほとんど外国なまりがなく、たまにWarをワーと発音したりしているのが気にかかったくらいだ。英語がネイティブでないとしたらあれだけしゃべれれば立派なものだが、インタビューへの答えはやや冗長で期待はずれだった。でも今日紹介する記事を見る限り、本のほうはもう少し期待できそうだ。ペーパーバックが出たら読んでみようかな。

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11/17/2008

x46:「Backstabbing for Beginners」の書評

Wall Street Journalのウェブ版に載っていた書評。レビューアーは米国の元国連大使でタカ派のマイケル・ボルトン。この人は歯に衣着せぬ言動で物議をかもすが、その主張はけっこう当たっていることが多い。(ちなみに彼は別のコラムで北朝鮮についてアメリカの弱腰な外交を批判していたが、それは正論だと思う。)国連大使時代には国連に何かとたてついて紛糾した彼だが、今回レビューしたこの本もやはり国連の腐敗を突いたものらしい。ボルトンのやつ、レビューを装って持論を展開しているな、という感じもするが、国連という存在についてはもう少し一般の人も懐疑的な目で見る必要はあると思うので、音読で紹介しておく。

さて肝心の本のほうだが、国連がサダム・フセイン時代のイラクに対して行っていたOil for Foodという援助プログラムに携わった著者Michael Soussanが、関係者の目に余る腐敗ぶりを告発したものらしい。「Backstabbing for Beginners」というタイトルは秀逸で興味をそそる。「初心者のための裏切りの手引き」とか、「サルでもできる寝首の掻き方」とか、「内部告発の手ほどき」とか、「権謀術数への誘い」とか、和文タイトルの可能性を考えるだけでも楽しい。この本自体はまだ11月に出たばかりの新刊なので未入手だが、ペーパーバックが出たら買ってオーディオブック化しようと思っている。ただし同じ著者が別のサイトに本書と似たテーマで記事を書いているのを見つけたので、近日中に紹介しようと思っている(すでに録音は済ませてある)。

1分間サンプル:
「081113AHoneyPotforSaddam.mp3」をダウンロード

11/16/2008

x45:ブレア元首相夫人からオバマ夫人へのアドバイス(The Times)

ブレア元イギリス首相の夫人シェリーさんがThe Timesに寄稿したコラム。オバマ夫人にエールを送り、自らの経験やヒラリー・クリントンとのやり取りを紹介しながらファーストレディとしての心得をアドバイスしている。記事の内容にはとりたてていうほどのものはないが、オバマ夫人を讃える意味で取り上げてみた。

オバマ夫人ミシェルさんの選挙戦中のインタビューや演説などをビデオで見ると、まさに聡明を絵に描いたような人で、人を見下すようなところがみじんもない。知性はとげとげしさにもなりやすいが、彼女の場合は逆に知性が相手の心を和ませる役目を果たしている。そこに人間的な温かみを感じて、すっかりファンになってしまった。

The TimesやU.S. News and World Reportには先日オバマ夫人自身のコラムも掲載されていた。そちらは「自分はファーストレディーになってもまず母親としての役割をしっかり果たすよう心がける」という内容で、文章としてはあまり印象に残らなかったが、自分はサポート役に徹する、という彼女の姿勢は一貫している。意地悪い見方をすれば、自分を殺している、ともいえるんだろうけど、過度の自己主張(サラ・ペイリン知事みたいな)がどれだけ世の中に弊害を招いているかを考えると、やっぱり自分をうまく抑制できる人のほうが尊敬に値するんじゃないだろうか。

1分間サンプル:
「081114CherieBlair.mp3」をダウンロード

11/14/2008

x44:キング牧師「I Have a Dream」

先日オバマ次期大統領の勝利演説を読んで、キング牧師のI Have a Dreamが下敷きの一つになっていると感じたので、こちらも久しぶりに読んでみたら驚いた。なんとパワフルな演説! もういろんな人が解説し尽くしているだろうから内容はここでは繰り返さないが、現代のぼくにも強い共感を呼ぶ。熱情にあふれ、しかも構成や引用も巧みで、何度も味わいたくなる演説だ。

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11/09/2008

x43:サリンジャー「The Catcher in the Rye」

オーディオブック自作プロジェクトの最初期に取り上げた一冊。録音したのは3年ほど前だった。その時は、昔読んで面白かった記憶はあったけど内容はすっかり忘れていたので、録音しながら改めて味わい直し、それを聴き返してはまた楽しむ、というプロセスを踏んだ。おかげで、どのシーンも頭の中でイメージを早送りしたり巻き戻したりしてすぐアクセスできる、というくらい内容はよく頭に入った。

ところで、この題名「The Catcher in the Rye」ってのはくせものだ。キャッチャー・イン・ザ・ライなんてただカタカナ書きにしたって意味わかんないし、「ライ麦畑でつかまえて」、なんてのもピンとこないし、昔あった「ライ麦畑の捕手」なんかに至ってはまるで野球の話みたいで、こいつ中味読んだのか? と疑いたくなる。たしか本の中では、子供達がライ麦畑で迷子になって危ない崖やなんかに落っこちないよう、おれがしっかり見張っててやんなきゃだめなんだ、といったニュアンスで主人公が自分をCatcher in the Ryeと称していたように記憶している。たとえば東尋坊で自殺しそうな人の肩をポンポンとたたいて「変なこと考えたらあかんで、あんた」と声をかけるオジサンみたいな(ちょっと違うか)。

主人公のおちこぼれ高校生ホールデンは、おれはバカじゃないんだ、おれのビッグさに人が気づいてないだけなんだ、とつっぱるが、すべてが空回りしてかえって自分を追い込んでしまう。そういう意地のはり方も共感できなくはないが、やっぱり小学生の妹フィービーの純粋さに救われるラストがいちばん好きかな。前の録音では不満な点が増えてきたので、今回は最後のシーンだけ録り直してみた。

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11/08/2008

x42:海外ニュース誌の記事 The Economist (2)

オバマ次期大統領の勝利をイギリスのThe Economist誌などはどう評しているか知りたかったので、トップ記事を録音してみた。タイトルがGreat Expectationsで、途中に小見出しでHard Times and a Bleak HouseとかOur Mutual Friendなどとディケンズの小説の題名を入れて、なにやら工夫がありそうに思えたのだが、凝っていたのは見出しだけだった。新大統領にストレートにエールを送っているだけで、イギリス風の毒気のあるシニカルさはなく、その分ちょっとつまらない。言っていることはしごくまともでいいんだけど、この程度の記事でディケンズを引っ張り出すのはちょっとおこがましくないだろうか?

1分間サンプル:
「081106GreatExpectations.mp3」をダウンロード

11/06/2008

x41:「ジュラシック・パーク」

マイケル・クライトン死去の報道を見て、急きょこの作品を取り上げることにした。といっても、オーディオブック自作計画の一環として今年の春に録音は済んでいた。このサイトを始めてから適当な掲載時期をうかがっていたのだが、こんな形で実現することになったのは残念だ。

この本は映画化される前にペーパーバックで読んだが、活字からでも十分迫力ある恐竜を思い描くことができた、と記憶している。その時は、鮮やかな活写の連続で息もつかせないような本だと思っていたのだが、今年読み直してみるとわりと雑な描写が目につくし、全体的に文章もあまり練れていない印象でちょっと拍子抜けした。子供の頃熱狂したテレビ漫画を、今再放送で見ると「なーんだ」という気がしてしまう、そんな感じかな。その中で、Chapter 36なんかはわりと緊迫感が持続して楽しめた。こうして元のテキストがうまく書かれていると、自分のイマジネーションで思い描く恐竜のほうがCGよりよほど迫力があったりするから不思議だ。

1分間サンプル:
ダウンロード JPshort.mp3 (1020.0K)

Chapter 36全体:
ダウンロード JP36.mp3 (14213.1K)

11/05/2008

x40:オバマ氏勝利演説

オバマ氏が今日の昼過ぎ(日本時間)に大統領選を制し、支援者を前に勝利演説を行っていた。久しぶりに内容のある格調高い演説だと感心したので、CNNでトランスクリプトを見つけて最後の10分ほどを録音してみた。

改めて冷静に聴いてみても、このスピーチはやはりよく書けている。106歳の黒人女性投票者の人生にアメリカ近代史を重ね合わせて俯瞰する構成の巧みさ。そこここにちりばめられた歴代大統領らの有名な演説のさりげない引用。キング牧師のI have a dreamのリフレインを思わせながら、アジ演説風の連呼は賢明に回避したYes, we canの繰り返し方。オバマ氏のパフォーマンスもいい。「x1:はじめに」で触れたよい音読の条件をすべて満たしている。なにより、真摯さと知性を感じさせる。道理で選挙に強いわけだ。(ちなみにマケイン氏の敗北宣言も聴いたが、こちらもオバマ政権への協力を呼びかけたすがすがしい演説だった。もっと早くそういう成熟した態度を見せていれば、この人ももっと健闘できたろうに。)

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